
3.11の震災が起こる前の時点で、日本では54基ある原子力発電所が総発電量の約4分の1をつくり出していました。
世界には何基ぐらいの原子力発電所があると思いますか? 2007年のデータによると435基。世界の発電量に占める原子力発電の割合は8%(2009年)です。
世界で最大の「原発大国」は104基を持つ米国で、次いで59基のフランス、そして日本となります。
原子力発電の利点として、「発電時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない」「燃料のウランは政情の安定した国からの輸入が多い」などと並んでよく挙げられるのが「発電量あたりの単価が安い」です。
確かによく引用される「さまざまな電源の1kWhあたりの発電コスト」(1999年資源エネルギー庁)によると、水力発電や火力発電よりも原子力発電のコストが安いのですが、実際には、原子炉の寿命後に廃炉にする費用や今回のような原発事故の際の賠償金(今回の賠償金もいくらになるのかわかりません)など、多額の費用がかかる部分は計算に入っていません。また、原子力発電所の立地自治体への多額の国からの補助金(私たちの税金から支払われています)も計算に入っていませんから、実際のコストはもっと高くなります。
そのひとつは、今回の事故で明らかになったように、重大事故が発生するとはかりしれない被害を与えることです。放射性物質が空中を漂い風に運ばれ、海に棄てられている汚染水は海流にのって世界をめぐるように、その影響は日本にとどまらず、地球規模に及びます。今なお放出されつつある大量の放射性物質が無害化するまで、どのくらいの年月が必要になるのでしょう。未来世代へも悪影響をもたらしてしまうのです。
しかし、事故がなくても、発電後の放射性廃棄物をどのように処分し、数万年もの間どうやってどこに保管しておけばよいのかという核廃棄物の問題や、原子力発電所などへのテロリズムの危険性、原子力技術の軍事転用の問題(使用済み核燃料に含まれるプルトニウムは原爆などに転用することが可能)、発展途上国の原発の安全性の懸念(先進国である日本ですら……ですから)など、簡単には解決できない本質的な問題を抱えています。
アル・ゴア元米国副大統領によると、「米国では1970年代以降、新規に発注・建設された原子力発電所はゼロ」とのこと。原子力発電のコストとリスクが大きすぎて、民間企業では引き受けられないことも大きな理由だそうです。
今回の福島の原発事故を受け、スイスやドイツなどは「脱原発」の方向性を強く打ち出しました。
日本でも国民感情からいっても今後の原発の新増設は難しいでしょう。とすると、寿命を40年としても原子力発電は自然消滅していきます。もちろん、それを待たずに、意志を持って脱原発を加速することは常に可能です。






























